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そのアメちゃん、本当にいる??

※2021年7月に書いたこの記事、2023年1月の今、どう読みますか?

 

昔々あるところに、人々を魅了してやまないアメちゃんを売っている人がいました。

そのアメちゃんをなめると、なんと、交通事故にあう確率が減るのだそうです!しかも、万が一交通事故にあっても、軽症ですむ可能性が高まるかもしれないと言われ、人々はそのことを心から信じていました。

みんなはアメちゃんを欲しがりました。

しかし、実はこのアメちゃん、何粒かにひとつはなめたら死ぬとも言われていました。アメちゃんをなめてしまい、交通事故で死ぬよりも多くの人が実際に亡くなっていたのです。

一部の人たちはアメちゃんのことをロシアンキャンディと呼び、アメちゃんの正体となめた人の動向を冷静に見守っていましたが、多くの人は予約の取れないアメちゃんをこぞって買いに行き、なめて、なめて、「私は生き延びた」と喜んでいました。

死ぬかもしれないアメちゃん。なめても交通事故にあうリスクは減らないアメちゃん。そんなアメちゃんを、なぜ多くの人は求めたのでしょう??

それは、アメちゃんをさばいている売人がテレビを操る多大な力を持っていて、アメちゃんの本当の成分や致死率は表に出さず、いい感じの印象だけを表に出していたからです。

イメージ戦略、一人勝ち状態!!

なめてもなめなくても交通事故にあうかどうかはわからないのに。アメちゃんなめても、自分で事故にあわないように気を付けないといけないのに。交通事故にあった時に、必ず軽傷で済むという保証もされていないのに。アメちゃんのせいで死んでもそれを売人が認めて補償や謝罪をしてくれるわけでもないのに。

 

アメちゃんブームが去った数年後、様々なアメちゃんの弊害が明らかになってきました。

実はアメちゃんの売人、アメちゃんをなめたら本当に交通事故にあわないかどうか、事故にあっても軽傷で済むかどうか、どれくらいの人がアメちゃんのせいで死亡するのか、地球上の人間を使って実験をしていたのでした。

過去の出来事になってしまえば、「アメちゃんで交通事故が減るわけないだろ!」「アメちゃんなめたから軽傷で済むわけじゃないだろ!」と誰でもわかることなのに、当時はみんなテレビに洗脳されていて、みんながアメちゃんをなめれば交通事故はなくなり、人類は救われると信じて疑わなかったのです。

海を越えた遠くの国では、アメちゃんを売っていた人たちが逮捕されましたが、なめちゃった人たちの後遺症がそれで消えることはなく、もちろん、亡くなった人々が帰ってくることもありませんでした。

 

アメちゃんをなめてしまった人たちは言いました。

「なんであの時なめちゃったんだろう」と。「ちゃんと情報を提示してほしかった!」「危険性をもっと明確にしてほしかった!」「みんながなめてるから大丈夫だと思った!」「かかりつけ医が絶対平気って言ったのに!」「職場で強制的になめさせられたんだよ、本当はイヤだったのに…」

実際は、アメちゃんが開発されたときから、危険性を訴えている人はいたし、客観的なデータも出ていたんですけれどね。テレビで取り上げられなかったから、知らなかった人が多かっただけなのです。

自分で情報を集め、自分で判断していれば、少なくとも結果に対して人のせいにするなんてみじめなことはしなくて済んだのに…。大切な命をなくさなくて済んだかもしれないのに…。

 

人から与えられる情報を鵜呑みにするだけでは、自分の身は守れないんですね、という、昔々のお話でした。

ちなみにアメちゃんは、みんな大好きイチゴ味だったそうです。たまに2~3日寝込むほどのひどい虫歯になる人もいたそうですが、鎮痛剤を飲めば大丈夫とのことでした。

おしまい

 

※この物語は100%フィクションで、現実のお話とはなんの関係もありません♡

 

 

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