「フォニックスで発音がよくなるらしいよ!」
「はやいうちからフォニックス始めた方がいいよ!」
こんな言葉を、ネット上で見かけたことはありませんか?
こんにちは。Rhymoe Phonics Creative Directorの渡邊いくみです。本物の英語のリズムに基づいたユニークな英語教育プログラム”Rhymoe“メソッドをベースに、あとのびする英語力の土台を育てるフォニックスメソッドを開発、普及活動に務めております。
ここ数年、フォニックスという言葉がだいぶ普及し、それとともに、フォニックスに対する誤った認識、誤った解釈を見かけることも増えました。
今日は「フォニックスってなに?」「いつから始めるのが最適なの?」というお話を、真面目にしたいと思います。
フォニックスってなに?
フォニックスとは、話し言葉である英語を、文字につなげるための読み書き指導法です。
フォニックスを理解するために大切なポイントは2つ!
この2つの理解をきちんとしていないと、「小さい頃からフォニックスを始めた方がいい」という誤った解釈を導きかねません。
1つずつ解説していきますね。
話し言葉である英語を文字につなげるとは
私たち日本人は、おんぎゃ~と生まれてから、まわりの大人たち、きょうだいたちが話す日本語をたくさん聞いて育ちます。
0歳の赤ちゃんに対して「これはりんごよ」とリンゴのカードを見せながら説明する大人はいないですよね。「り」と書いてあるカードをみせて、「これはりんごの”り”よ」と話しかける人もまずいないでしょう。
赤ちゃんは周囲の人間が話す“自然な会話”、“自然な言葉の連なり”を聞いて、その言葉が持つリズム感や音感をまずは体に吸収していきます。
そして、1歳が近くなるころ、なんとなく意味のある言葉のかたまりを口にするようになり、それに対して大人が「ママっていったー♡」と笑顔でリアクションしたりすることで、「ママ」という言葉に意味があり、コミュニケーションに使えるということを感じ取っていきます。
そうやって“話し言葉である日本語”を習得していき、3歳になるころには語彙力も増え、文で会話が出来るようになり、言葉でのコミュニケーションが可能になっていきます。
0歳からあいうえお表をみせて、”あ”という文字の”読み方”を教えたりはしません。
日常生活の中でたくさん言葉を覚え、アウトプットしていき、4歳前後くらいから”文字の存在”に気が付き、なんとなく文字を読むようなそぶりが見え始めます。
「”き”で始まるもの、なーんだ?」というクイズを出して「きりん!」「きつね!」「きかんしゃ!」という仲間を集められるようになって、はじめて”き”という音と文字の概念を結び付けられるようになってきたと言えます。
そして、もう少し大きくなると、しりとり遊びが出来るようになってきます。「き・つ・ね」「ね・こ」「こ・い・ぬ」「ぬ・ま」というように、1つの言葉をバラバラの文字と音にわけて考えることが出来るようになるからです。
この人間の言語習得の過程は、日本語であっても英語であっても変わりません。
人間は、大きな言語のかたまりから、まずはリズム感や語感を感じ、意味のある単語を理解し、それを組み合わせて文章を組み立てることが出来るようになり、少しずつ抽象的な概念である文字やそれに対応する1つ1つの音を抽出出来るようになるのです。
そして、文字に興味を持ち、鉛筆を持って字が書けるようになるころから、抽出した音を組み合わせて単語をつくり、単語を組み合わせて文を作り、文章を作り、複雑な長文を理解出来るようになっていきます。
大事なことなのでもう一度言います。この言語習得の過程は、日本語であっても英語であっても変わりません。
話し言葉から書き言葉につなげていくのです。話し言葉がない状態での読み書き指導は、ただの記号を読み上げているだけ…といっても過言ではないのです。
フォニックスとは、話し言葉である英語を、文字につなげる読み書き指導法と私が言っているのは、この言語習得の過程が非常に大切だからです。この過程を無視したフォニックス指導は、語彙力もない、抽象的なことも理解できない赤ちゃんや小さな子ども達に、”り”という文字をみせて”リ”と言わせているだけだからです。
りんごがわからない子どもに、”り”を教えてもあまり意味がないように、”a”と書いてあるカードをみせて”ア”と読めても、それが何?となってしまいます。aがつくことばをたくさん知っている、たくさん使っているからこそ、「appleのa」「antのa」という話し言葉(意味のある言葉)と文字がつながっていくのです。
フォニックスを学ぶ前には、十分な語彙力とある程度の英語のアウトプット(発話)が出来ていることが大事だ、ということをしっかり頭の中に叩き込んでください。ホント、大事です!
読み書き指導を始めるために必要なこと
フォニックスは、英語の読み書き指導です。
当たり前なんですが、読んだり書いたり出来ない年齢の子どもにフォニックス指導をするのは時期尚早です。
特に大切なのが”書けるかどうか”というところです。
先ほど書いたように、音と文字の繋がりを学ぶためには、1つ1つの音、とか、文字、という概念が理解できている必要があります。
音や文字の概念が理解できる年齢と、えんぴつを持って字を書けるようになる年齢は、何歳くらいでしょうか?
もちろん個人差はありますが、平均したら5歳前後ではないかなと思います。
日本人で考えてみてください。4歳になりたての子どもに鉛筆を持たせて「あ」と書かせようとしたら……、嗚呼、かんしゃくを起こしている姿が容易に目に浮かびます(比較的女の子はちゃんと出来るかも笑)。
そうなるのは、成長過程を考えてたらごくごく自然なことです。まだ早いのです!
英語でもそれは一緒です。フォニックス=英語の読み書き指導という風に理解していれば、おのずと何歳くらいから始めたらよいか、見えてくると思います。
文字に興味がない、鉛筆をもって字を書けない(書きたがらない)、そういう年齢のお子さんは、フォニックスを始めるのは早すぎるのです。
なぜ「フォニックス=発音」という誤った認識が広まったのか
これは私の勝手な憶測ですが…。
そもそも英語がある程度出来る英語講師が、フォニックスと出会った時「自分もこんな風に音と綴りのルールを学びたかった!」と思ったせいじゃないかと思っています。
確かに、今の大人たちはフォニックスを学んでいません。だから、文字と音のルールを知ったとき、「自分もこんな風に教わっていたら、綴りを覚えるのに苦労しなかった!」と感動すると思います。私もそうでした。
この感動を、子どもたちに伝えたい!と思うのは素晴らしいことです。
でも、大切なことを、私たち英語講師は見落としていました。
英語講師には、そもそも英語力があるのです。土台となる音が入っている。語彙力もある。程度の差はあれ、英語耳も育っていて、会話も出来る。
英語の土台がある状態でフォニックスを知ったら、そりゃ感動しますよ。
これは英語が苦手なママでも同じです。どんなに英語が苦手とはいえ、中学高校で英語は学んできているから、何も知らない子どもよりは知っています。
自分が苦手だったからこそ、子どもには英語を好きになってほしい。自分と同じ苦労はしてほしくない。そういう想いをもったママたちがフォニックスに出会った時、「こんな風に学びたかった!」と思う方は少なくないでしょう。
しかも、フォニックスを学ぶと、これまで知らなかった英語の発音についても学ぶことが出来ます。フォニックスは、英語の音と文字をつなぐための指導法だからです。大人だから字はすでに書けます。だからより一層”読み(発音)”の方に意識が向いてしまう。
その結果、フォニックス=発音という解釈をしてしまっても、仕方がないことだと思います。発音コンプレックスが根深くある日本人だからこそ、「フォニックス=発音」という解釈を受け入れやすく、伝えやすかったのでしょう。
私も数年前この誤った認識を広めてしまった一人だと、自覚しています。だからこそ、この部分を変えていかなければ!と今、新しいフォニックスメソッドを伝える活動をしています。
日本人の認識が変わるまで、地味にコツコツやり続けなければいけないなぁと思っています。拡散力のある大手英語教室や、大手教材会社が「フォニックス=発音」という前提で広告を出すと、ほんと一気に負けちゃうんですが(笑)
でも、少なくともこのブログを読んでくださっているみなさんは、認識を新たに、本当の意味での「フォニックスとはなにか」を地味にコツコツ伝えていってください。みなさまのお力が必要です。
フォニックスを始めるのに最適な時期
ここまでお読みいただいたら、もうおわかりですね?
フォニックスを始めるのに最適な時期は
です。
これより前にフォニックス指導を始めても、あまり効果的ではありません。下手したら英語を嫌いになる可能性もあります。
意味の分からない文字列をただ声に出したり、ただ組み合わせて読み上げたり、書きたくない字を書かされたり…。そこに学ぶ喜びがあるはずがないですよね。
逆にいうと、音を抽出できるようになり、文字をスラスラ書けるようになっているお子さんの場合、あっという間にフォニックスを理解し、マスターしてしまいます。
極端な例を言えば、幼稚園児の時にフォニックスを始めても、理解し定着するのに数年間かかりますが、中学生に教えたら2週間でマスター出来ちゃったりするわけです。
(あくまでフォニックス指導という視点からのみ、言ってますよ。中学生から英語を始めればいい、という意味ではないですよ~)
フォニックスを始める時期を、間違えないようにしてくださいね。
読み書き学習の前にやっておくべきこと
はい、ではみなさま、ここでもう一度「フォニックスとは何か」、声に出して言ってみてください。声に出して言う、というのが大事です。
いいですか?言えましたか?
フォニックスとは「話し言葉である英語を、文字につなげる読み書き指導法」です。
ということは、読み書き指導の前にやっておくべきことがありますよね。
赤ちゃんが言語を習得していく過程と一緒です。英語が持つ言語的リズム、語彙力、会話力、それをアウトプットする機会…そういうものが何よりも大切なのです。
話し言葉である英語、を完璧に習得する必要はありません。
でも、フォニックス学習を始める前に、たくさんの英語をインプットし、アウトプットする経験がなによりも大事なのです。その時に役立つのが、英語での手遊びや絵本の読み聞かせです。
さらに言うと、本物の英語の手遊び、本物の英語の絵本を通して、本物の英語のリズムと発音に触れておくことが大事なのです。
残念ながら、日本人が監修している日本人向けの英語教材は、日本語のリズムで作られた日本人にとってわかりやすい英語で出来ています。
日本人が作った英語絵本には、カタカナで読み方のようなものが書いてあったりしますが、あれは英語の発音ではありません。日本語の発音です。
日本語のリズム感で、日本語の発音で、どんなに手遊びをしても、絵本の読み聞かせをしても、それは日本語の語感と発音を育てているのであって、英語の習得には程遠かったりします。
だから、小学生・中学生…大人たちの英語が、カタカナ発音のブチブチ切れた英語になってしまうんです。
リズム感、めっちゃ大事!
フォニックス云々よりも、5歳くらいまでは、本物の英語のリズム、本物の英語の発音に触れる機会を、山ほど作ってください。それが十分に蓄えられていたら、文字の読み書きを学べるようなお年頃になったとき、すんなりと読み書きを習得していけます。
リズム期と音文字期をつなぐおもちゃ「フォニックスキューブ」
私がCreative Directorを務めるRhymoe Phonicsでは、英語のリズムと発音をインプットする時期をリズム期、音を文字につなげる時期を音文字期と言っています。
4歳くらいまでは本物の英語のリズムと発音にたくさん触れ、5歳くらいから読み書き学習を始める、というのが理想的な流れですが、もちろん個人差がありますし、リズム期から音文字期へ移行していく期間もあります。
移行していく期間とは、文字の存在に気づき興味が出てきて読むそぶりをみせるけれど、まだ書けない、という時期です。
まさに、我が家のサブロー3歳(まもなく4歳)が今そうなんです~
そんな時期にぴったりのおもちゃを紹介します。
以前、愛知県で読み聞かせ講座を開催した時に知り合った、マクレランまゆみ先生にご紹介いただきました。フォニックスキューブは、フォニックスの基礎を楽しみながら身につけるモンテッソーリ式知育玩具で、北米やUK等英語圏の子どもたちに愛用されているそうです。まゆみ先生はLITTLE BUD KIDS社と総代理店契約を結び10月からAmazonで販売を始められました。
🔹子音+短母音+子音、という初めて音と文字をつなげて読む練習をするのにピッタリなつくりになっている
🔹子音と母音で色分けがされている(でも日本人と色の感覚が逆なんですよね~💦日本人って母音が赤って感じしません?Jolly Phonicsも母音が青で子音が赤で、最初めっちゃ違和感ありました)
🔹子どもの手になじみやすい大きさでまとまっている(ブロックがバラバラだと誤飲につながったり、失くしたりする…)
🔹実写の単語カードがついている(私は単語カードは圧倒的に実写派!イラストは可愛いけれど、やっぱり本物の写真で意味を確認していきたい♡←完全に私の好み)
🔹アルファベットチャートがついている(写真右上のカード)…サブローはこれに一番食いついてました
🔹お片付け用の袋がついている(持ち運びしやすい~)
我が家のサブローは、私がやり方を話すまでもなく、適当にカードを開いて文字を組み合わせてました。ちょうど文字の敏感期に突入しているので、まさに今!が使い時、という感じです。
自分で文字を組み換えて、ブレンディングするところまで出来ていましたね~。
ただし!ここで要注意です。
誰でもこれが出来る、これをやらせてOK、ということではないです。
サブローは、生まれた時から私のレッスンにフル参加しています(私がサブローを背負って講座をしていたので笑)。英語の歌や手遊び、絵本に日々親しんでいて、簡単なフレーズなら自分でも話せるようになっています。
DVDやYoutubeで何となくフォニックスについてインプットもしていて、ひらがなもアルファベットも、ヨロヨロの字ですが書こうとする意志が出てきています。
こういう経緯があり、そういう時期であり、話し言葉としての英語の土台がある程度出来ているからこそ、パッと渡してパッと読むことが出来ているのです。
しかし!3回くらいで飽きます。
どういうことかわかりますか?まだ「文字を読む」ということに、喜びがないのです。機械的に記号を組み合わせて声を出す、ということをやってみてはいるけれど、そこに“楽しい”という感覚がまだ伴っていないのです。
こういう動画を載せると、まるで何度でもこういうことをしているように見えるかもしれないですが…。ちゃいます。かろうじて3回やったところの1回を動画にして載せているだけです。
絵本も読み聞かせしていると真似っこして音読しているように見えますが、それは文字を読んでいるのではなく、音を暗記して声に出しているだけなんですよね。音読ではなく暗唱。サブローは今そういう時期です。
私がただのママだったら。
「うちの子すごいでしょ、キラキラ~!」とこの動画を載せただけかもしれないですが、すみません、フォニックスの認識を正していかねば!という立ち位置で活動している以上、私はここをちゃんと伝えないといけないんです。
3回で飽きてしまったサブローはとっても素直で正直な反応をしています。
Rhymoe Phonicsのトレーニングでもお伝えしていますが、5歳より前の子どもに音を分解させたり組合わせたりするアクティビティをやらせても、嫌がる、という研究結果も出ています。
だから、決して無理矢理やらせてはいけないし、興味を持った時に、サラッと遊べて、サラッと終わりに出来ることが大事なんです。
まさに、リズム期から音文字期への移行時期にピッタリ!
2歳では早すぎるし、6歳では簡単すぎます。文字に興味を持ち始めた4歳前後くらいに最適なおもちゃだなと思います♡
メルカリでも販売しているそうなので、「フォニックスキューブ」で検索してみてくださいね!贈り物とか、サンタさんからのプレゼント…とかにイイ感じのおもちゃかな~と思います。
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
まとめ:フォニックスを始めるのに最適な時期は??
フォニックス=発音ではないので、焦り過ぎてお子さんを英語嫌いにさせないようにお気を付けください。何事も最適な時期、前提となる土台があります♡
英語のリズム・発音について学びたいママはこちらのレッスンでお待ちしております~!
英語の発音についてきちんと指導したい講師の方はこちらです。
本物の英語のリズムについて学びたい方は、Rhymoeのウェブサイトをご覧ください♪
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